短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2024年5月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四二四)                              黒川千尋

 

選歌余談                                  松村英一 

語彙                                    半田良平

 歌壇管見                                  吉田直久

 

令和五年版「年刊歌集評」一首抄(二) 廣井公明・渡部敦則・渡部徳子・南部涌子・本田守

三重支部新年会の記                            鹿志村啓子

 

 

 昭和覚え書き(二九)                            御供平佶

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その四八)                     川口城司

 

ことばにまつわるあれやこれや(Ⅴ)                     齋藤隆彦

  

歌の師・歌の友(56)                           中野たみ子

 

 

本と私                                  白田妙一

 

作歌遊談 一字の師                             吉田三郎

 

秋圃の一瞥論                               尾山篤二郎

 

卓上語                       鶴岡美代子・山田みよこ・佐藤和惠

 

作品批評                齋藤隆彦・秋山かね子・角田純子・増田淑子

                    田宮敏子・紺野愛子・浅井さつき・仁尾岳士

 

   転載歌

 

   第六十三回 国民文学全国大会神奈川大会案内

   

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

   編集室だより・後記

 

                             表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四二四)


雪に立つ山の馬酔木(あしび)のふふむはな房を垂れたり春待ちがてに

                              「石に咲く花』

護りつつ列のもみゆく赤き旗新宿街にわれ傍観す

 

耳遠くなりしと子らにいふ妻よここにゐる吾をさびしがらすな

 

暁と夜とのさかひの少安に水をわたりて来る鳥のこゑ

 

思のまま生きし吾かなわが経たる世は狭けれどそれもよしとせむ   『雲の座』

 

点(た)つる茶のみどりが冴えて陶の肌かなしきまでに色映えてみゆ『白い花の咲く道』

 

をりをりに落葉の降りて行く道にかさなり合ひて音のなき音

 

                                     抄出 黒川千尋

 

今月の選者の二首 2024年5月号より

御供 平佶

平和主義忘るるなかれ日本の火油を注ぐ軍拡ならぬ

「はしか」ならすぐ橋の下行つといで遠く幼き日の子守歌

永井 正子

乱舞する四十数基の奉灯が去年は能登の地払ひしものを

細かなる亀裂が日を経て開きくる地震をとどめて壁も礎石も

吉田直久

海底に(うみそこ)に埋もれし時計もあることよ針の留まる二時四十六分の

虫眼鏡通して映る冬の蠅左右うかがひ視界より消ゆ

佐伯雅司

砂はらを鈴鹿おろしの吹き抜けて波打ち際に海鵜寄り合ふ

準備終へ椅子に腰掛け汁すするフリマの店主の眼鏡は曇る

 

 (抄 吉田直久)