短歌誌「国民文学」今月号(1309号)

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2025年6月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四三七)                                川口城司

 

第42回【公木忌】研究発表

  松村英一の直喩 全集短歌にみる「ごとし」の使い方            齋藤隆彦

公木忌報告                                 宗像正江

  

実作指導篇      ~第十話より~                    松村英一

紫煙身辺記                                尾山篤二郎

 

三重県支部新年歌会報告                          野田恵美子

 

                

 歌壇管見                                 野田恵美子

 

 短歌とデザイン思考(12)                           吉田直久

 

昭和覚え書き(42)                              御供平佶

 

歌の師・歌の友 (69)                            中野たみ子

 

 ことばにまつわるあれやこれや(18)                    齋藤隆彦

 

本と私(43)                                 白田妙一

 

 私の一首                                  甘利祥子

                              

「沈思翰藻通信」  №8                           吉田三郎

   

 卓上語                         鯨井正義・金子公子・志賀千恵

 

 

作品批評                      金子公子・石田吉保・平野右子・富田紀子

                      磯貝久美子・三澤千鶴子・菊谷友子・山﨑松子

 

訃報 小野三千代氏

 

   転載歌

 

   西大久保便り 昭和四十五年二月号から                    松村英一

 

         第64回国民文学全国大会石川大会 案内

 

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

    

   編集室だより・後記

 

                       表紙画 池田信一  カット 斉藤恵子・樋森直子

 


松村英一の歌(四三七)


草原をわがよぎる時伏(ふ)せ樋(とひ)にたぎりて通る湯の音きこゆ    『やますげ』

太郎山見つつし行かむこの原に一すぢ通る道は細しも

男体の山をかしこみ見し時し峯にたつ雲は光たりけり

人にいふ寂しさならず硫黄の香匂ふいで湯をわがむすびつつ

石(いわ)の間(ま)に湯気噴きたてて湧きいづる湯玉のをどりかなしかりけり

梅雨ひでりこの街道に向きて立つ家の前には大麦干せり

磯長(しなが)道の長手をわが行けば粟の穂たたく石の音きこゆ

 

(抄出 川口城司)

今月の選者の二首 2025年6月号より

御供 平佶

八十年保つ平和を平然と破る転嫁を許してはならぬ

同年で八十を越し能登の顔群馬の顔と二人は変はる

永井 正子

気負ひ水浴びしがたちまち湯気となる御輿激しく能登を祓へり

掛け声の天にこだまし担ぎ来る神輿に稚児など必死に縋る

吉田 直久

母と子のビニール傘の重なりて虹が浮かび来雨の晴れ間に

組織より放り出されて自由とふ空気を肺の二葉に入るる

佐伯雅司

庭に残る雪にひとひら山茶花の褪せたる赤に戻る耀き

庇より落ちて固まる雪塊を下校の児童みな触りゆく

                                (抄 吉田直久)