短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2024年3月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

 

 

松村英一の歌(四二一)                           平谷郁代

千代國一の歌(一〇三)                         山田みよこ

 

感想と感動の区別                              松村英一 

詞書                                    半田良平

 

「国民文学新人賞」作品批評             鶴岡美代子・齋藤隆彦・岡本瑤子

 

「年刊歌集評」㈡   鹿志村啓子・斉藤恵子・鯨井正義・永安好子・山本美里・秋山かね子

 

 歌壇管見                                  吉田直久

 

 昭和覚え書き(二七)                            御供平佶

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その四六)                     川口城司

 

ことばにまつわるあれやこれや(Ⅲ)                     齋藤隆彦

 

心境                                   尾山篤二郎

 

 

歌の師・歌の友(54)                           中野たみ子

 

 

本と私                                  白田妙一

 

卓上語                      鹿志村啓子・磯貝久美子・公文千賀子

作品批評              岡本瑤子・中村且之助・並木梢・宗像正江・藤田悦子 

                  佐藤美代子・古屋はるみ・三宅久子

弟橘媛の歌について                            半田良平

 

 

   「国民文学賞」作品募集

   令和六年版年刊歌集募集

   第四十一回【公木忌】案内

 

   第六十三回 国民文学全国大会神奈川大会案内

   転載歌

 

   歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

   編集室だより・後記

 

  

 

                             表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四二二)

妻とゐて相見るものか朝庭の露しとどなるあぢさゐの花          『やますげ』 野花(のはな)菖蒲濃きむらさきの花立てて今朝草のなか光あかるし 『落葉の中を行く』 年ひとつ加へしことも老の命ながきしるしと吾よろこばむ      『白い花の咲く道』 わが思ふままに暮して年経たり妻は足れりやいふことなきや       『樹氷と氷壁』 ここに来てしばらく妻よわれと見よ白き芙蓉の花の一輪 われも妻も口利くことの少なくてたまたま言へば若き日のこと 降る雨に濡れて芙蓉の白き花一もとの花青くさのなか     『樹氷と氷壁以後』 補遺

 

(抄出 平谷郁代)

千代國一の歌(一〇四)

瓦斯の焰(ひ)は青々と噴く妻の影くらく小さきを後より抱く     『鳥の棲む樹』 熱の身は寝返りうつや眼底に咲く赤き花ぐらとゆらげる        『陰のある道』 背をつつく指(おゆび)やさしき触感に金忘るなと妻の一言(いちごん)  『冷氣湖』 吾のつく終(つひ)の役印鮮やかに眼には残りて朱肉を拭ふ         『花天』 一瞬の生(せい)のいのちを吾とわがとどめむ歌か一花くれなゐ       『日曇』 

 蝙蝠(かはほり)の懸りてゐしと古墳より出づる平佶時をまたげり 草を抜け窺ふさまの朱(あけ)の花刺客(しかく)にあらず狐の剃刀(かみそり)

                                『師の花吾が花』

                                (抄出 山田みよこ)                            


今月の選者の二首 2024年3月号より

御供 平佶

元旦の午後四時十分緊急地震報次いで埼玉縦横に揺れ

おほらかな能登の気性を粉砕の天災が今日半島全土

永井 正子

高台の実家わが家に避難して余震に怯え家に入らぬ子

路上駐車の娘家族と交替に灯れる我が家のトイレに通ふ

吉田直久

横浜の氏神に二拍せし時に西三百キロの実家の揺らぐ

石壁の落つる玄関の木戸を引く軋みの音の悲鳴にも似て

佐伯雅司

とり残す庭の十薬もみぢして鳥の囀り高く響けり

水引草はつかの風に揺るるなか秋明菊のすつくと伸びぬ

 (抄 吉田直久)