短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2023年3月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

 作家至言

松村英一の歌(四〇八)                           杉山秀雄

 

千代國一の歌(九〇)                            安藤晴江

 

百十周年記念 国民文学映像アーカイブス 第一回

 

「国民文学賞」作品批評                  岡本瑤子・齋藤隆彦・福住悦也

 

年間歌集評            山岸金子・佐伯雅司・鹿志村啓子・山本美里・金子公子

 

 歌壇管見                                  浅野真智子

     

 昭和覚え書き(十五)                            御供平佶

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その三十四)                    川口城司

 

   「国民文学」叢書秀歌抄録(八十六)                      三浦 武

 

    歌の師・歌の友㊷                            中野たみ子

                            

 

         哀悼

                                 

    明日の国民文学№14                           吉田直久

  

    本と私⑱                                 白田妙一

          「吾を忘れた」歌に寄せて

  

    卓上語                      橋本千惠子・山本美保子・下平小夜子

            

    作品批評            鶴岡美代子・紺野愛子・加藤恵子・渡辺徳子・袴田ひとみ

                   渡辺清彦・岡留優子・佐藤和代

    

「国民文学新人賞」作品募集

第四〇回公木忌 案内

第六二回国民文学全国大会埼玉大会案内

転載歌

転載歌

  

歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

 

編集室だより・後記

 

                          表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四一〇)

身に堪へて寂しと言はじ庭のべの白つめ草は花咲きにけり         『やますげ』
をがら炊く炎達の盛りむかひゐてあるいはたへず物言へよ妻よ       
誰からとなく貧しさを語りあひ今日ともにゆく枯山の尾根         『河社』
弾痕が一列にうがつ壁のまへ人の生命はあかつきになし
召されたる友いくたりか出で立ちて言の静かに行方を告げず         『標石』
新しき国のあゆみおこる音一つひびきを恃みて待たむ            『山の井』
左様ならが言葉の最後耳に留めて心しづかに吾を見給へ       『樹氷と氷壁以後』

          (抄出:杉山秀雄)

千代國一の歌(九二)

枇杷の花冬のひかりに咲くも見て勤めつつまし再び歩む          『冬の沙』

水ふかく沈む雪くれ蠟のごと寂しき色のいくとき保つ

幻影と果てし鰊かオロロンと啼く鳥棲みて島を生かしむ           『花天』

靄立てる榛(はり)の林を飛(と)びきたり光なす影丹頂となる     『水草の川』

城の垣苔(こけ)生(ふ)枯れつつ積む石の容(かたち)さながら歳月(さいげつ)を負ふ

喘ぐがに経営詠みしそこばくの吾が歌のこり蚕糸業滅ぶ             

沢の雪明ると見るにまた翳(かげ)る谷川岳にいのちひと時         『師の花吾が花』                                 

 

 

                                     (抄出:安藤晴江)


今月の選者の二首 2023年3月号より

御供 平佶

駅前に声して笑顔あるやうなえつこに今日も逢へる気がする

再びの奇跡かならずまちわぶる機体は同じ歌会めんめん

永井 正子

治療台に独り残され別室のマイクの声に吸ひて息吐く

マジックの印の肌をこはごはと抱くがに一人の夜の湯に沈む

青木 陽子

風騒ぐ年の瀬の庭百舌鳥の声一際高し怒りにも似て

昼も夜も吾には短き冬至なり白き山茶花清らに庭辺

三浦 武

住む所あるゆゑ何もしてやらぬ十五(じふご)のわれに国容赦なし

十五の稼ぎに一家養へかそれ以来なり自民嫌ひは

吉田 直久

バーに潜む君の瞳は月蝕の赤月に似て妖しく光る

喉を過ぐヨード香の味確かめてこの三年の時間を埋めぬ

 (抄 吉田直久)