短歌誌「国民文学」今月号(1306号)

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2025年3月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四三四)                                伊藤玲子

 

国民文学石川支部新年歌会報告                       山本美保子

 

年刊歌集評二            藤生徹・永安好子・八幡恵美子・並木梢・秋山かね子

                                               令和七年空穂会案内

            

 歌壇管見                                 野田恵美子

 

 短歌とデザイン思考(九)                            吉田直久

 

昭和覚え書き(39)                              御供平佶

 

歌の師・歌の友 (66)                            中野たみ子

 

 ことばにまつわるあれやこれや(15)                    齋藤隆彦

 

本と私(40)                                 白田妙一

 

 私の一首    中野たみ子

                              

「沈思翰藻通信」  №5                          吉田三郎

 

 卓上語                       金戸紀美子・奥田富子・岡由紀夫

 

作品批評                     岡本瑤子・山田みよこ・仁尾岳士・宗像正江

                       渡辺清彦・鳥海三枝子・高熊若枝・伊藤恵子

   転載歌

 

         第64回国民文学全国大会石川大会 案内

 

   第42回 公木忌 案内

 

   国民文学新人賞 作品募集

 

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

    

   編集室だより・後記

 

                       表紙画 池田信一  カット 斉藤恵子・樋森直子

 


松村英一の歌(四三四)


海光のかがやける中しら珠の消ぬがにぞみゆ飛び立つ鷗    『春かへる日に』

両の手に膝をかかへて寒からず光はながき今日の夕ばえ           『山の井』

 

たよりなき眼となりにけり岡の心の一樹暮れつつ花は紅

悲しみはさしひく潮のさまに似て今日胸かろく日向を歩む         『石に咲く花』

わが庭にけふの光のなくなりてわか葉にとほる夕風のおと       『落葉の中を行く』

 

いちにちは命の一日けふ暮れて心ゆらぎしことのありしや       『白い花の咲く道』

 

稀人の君とあふぎし幸をみづからに言ひひとり涙すl            『樹氷と氷壁』

 

(抄出 今芽千陵)

今月の選者の二首 2025年3月号より

御供 平佶

面あげて飯食む父のもの思ふ姿の咀嚼わがものとなる

川原にものをなびけて白く布くこの初霜の眼に柔らかし

永井 正子

解体に更地となれど目途なしと建てざる家の間取りなどいふ

突き刺さり波濤に雪片呑まれゆく灯(ともし)の下の暗き海面に 

吉田 直久

側溝を黒き土嚢が高く積む「のと里山海道」を岬に向かふ

復興は長き闘ひ道の駅の仮設トイレに雪の降り積む

佐伯雅司

近き過去忘れて未来おぼつかなく母は嘆ききけふも嘆けり

覆堂に確と納まる金色堂変はらぬ光与へ給ふや

                                (抄 吉田直久)