短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2024年2月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

 

 

松村英一の歌(四二一)                            高熊若枝

千代國一の歌(一〇三)                         奥田榮子

 

 

一茎の草                                  半田良平

 

 歌壇管見                                  吉田直久

 

 昭和覚え書き(二六)                            御供平佶

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その四五)                     川口城司

 

ことばにまつわるあれやこれや                        齋藤隆彦

 

 

歌の師・歌の友(53)                           中野たみ子

 

 

本と私                                  白田妙一

 

卓上語                        小林邦子・田口安子・中田貴美恵

 

作品批評               原田緑・小林俊規・林田幸子・奥田富子・鯨井正義

                         下平小夜子・八幡恵美子・片岡由里子

 

   「国民文学賞」作品募集

   令和六年版年刊歌集募集

   第四十一回【公木忌】案内

 

   転載歌

 

   歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

   編集室だより・後記

 

  

 

                             表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四二一)

死にし子に頬すり寄せてものをいふ妻のかなしさ吾も泣くなり   『春かへる日に以後』

悲しみはさしひく潮のさまに似て今日胸かろく日向を歩む        『石に咲く花』

六十七歳の老のよろこびを誰に告げむ剣岳の上にけふ岩を踏む         『雲の座』

渦潮としづまる潮とこもごもに流れゆく方や瀬戸の白波       『白い花の咲く道』

吹き騰(のぼ)る霧ははだれの山を越え行方はわかず雲くらき空     『樹氷と氷壁』

悲しみはわれだけのもの死ぬ日まで消えずにあらむ妻よもの言へ   『樹氷と氷壁以後』

死は老の吾の安らぎ眼つぶれば事のなべては消えて行くべし

(抄出 高熊若枝)

 

千代國一の歌(一〇三)

瓦斯の烽は青々と噴く妻の影くらく小さきを後より抱く        『鳥の棲む樹』

甘き香のシャネル五番の小さき瓶をとめ見るごと掌中(しやうちゆう)にあり

 『陰のある道』

ひかりつつ空美しく降りこしもの安保のビラを踏めりわが靴        『冷氣湖』

乞ひ祈(の)める平和といへど天(あめ)なるや神は不戦の世を請け合はず  『風日』

ゆたかなる歌をと言ひし師の諭し胸に未知なる己を求む           『花光』

 

あと五年生(せい)を希ふは歌ゆゑと言へば医(くすし)の笑顔の返る 『内なるもの』

 

歌作らず過ぎしひと世を想ひ見む唯に虚ろに吾が人たらず

 

                                (抄出  奥田榮子)                              


今月の選者の二首 2024年2月号より

御供 平佶

百均に懐中電灯単四電池フロアに捜し今夜の供に

 

年長は年長の声茶碗酒重ねて旧きことを忘れず

永井 正子

振り上げて激しく下ろす桴の先生(あ)れつぐ音が胸底に鳴る

頭上より打ちくだる音和太鼓の記憶は祖のまたそのまた祖に

吉田直久

木枯らしに築百年の家は鳴き囲炉裏の傍へ蒲団敷く夜半(よは)

窓を打つ雨音聞きて眠る夜は記憶の底ひに光が降りぬ

佐伯雅司

東京にひしめきて建つ旧きビルに住み続けさする力を感ず

四日市コンビナートの瞬きを脱けて名月光を増せり

 (抄 吉田直久)