短歌誌「国民文学」今月号
月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。
活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。
作品Ⅰ
作品Ⅱ
作品Ⅲ
作品Ⅳ
作家至言
松村英一の歌(四一七) 下平小夜子
千代國一の歌(九八) 島並小枝子
百十周年記念 国民文学映像アーカイブス 第八回
金戸紀美子歌集『直心』書評 三浦武・吉田直久
秀歌十五抄 川口城司・青木陽子・茶谷富子・古屋清
歌壇管見 浅野由美子
昭和覚え書き(二二) 御供平佶
百周年拾遺 こぼれ話 (その四一) 川口城司
社告
「国民文学」叢書秀歌抄録(九三) 三浦 武
歌の師・歌の友㊾ 中野たみ子
本と私㉓ 白田妙一
若き制作者たちに 半田良平
卓上語 先山忠子・角田純子・三宅久子
作品批評 松浦彩美・山本美里・佐藤和代・中川親子
長瀬智惠子・安藤春美・石田吉保・岡由紀夫
第62回全国大会埼玉大会速報
「国民文学賞」作品募集
新年賀詞交換
令和六年版年刊歌集募集
転載歌
歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表
編集室だより・後記
表紙画 池田信一 カット 石田 叶
をさなきはをさなきながら五人(いつたり)が仲よく来ませけふの此の夜を 『やますげ』
雲去りて全(また)くあらはるる浅間山眼に向ふ襞の雪光りたり
敷藁にくれなゐつづる苺の実日々移りゆくものはしづけく 『山の井』
ふれたるは何草の絮(わた)か冬山のひかりのなかを漂ひて飛ぶ 『雲の座』
灯台の白壁のもとあかるきに立ちゐて海の干潮を聞く
すがすがし瑞の朴の葉をさな木の四五本いでて親木をかこむ 『樹氷と氷壁』
仕合(しあはせ)は何かとわれに問ひかくる声ありここは青わか葉道
(抄出 三宅久子)
鳴く蛙声たかまりて静かなり父となること胸あつく聞く 『鳥の棲む樹』
いつか消えし蚊遣りに燐寸(マッチ)する妻の暫し坐れば言(こと)掛けにけり
瓦斯の焰(ひ)は青々と噴く妻の影くらく小さきを後より抱く
疾風(はやかぜ)の一つひびきに頭(かうべ)たれ過ぎてゆくもの吾のいのちか 『風日』
風の辻来(きた)る白髪(しらが)を瞰(み)たりきと高層の卓に吾の囲まる 『日曇』
心より身より離るる妻ならず離るる早し生ひ立つ幼ら
吾より子子より幼に伝はれる何があらむか握る柔き手 『花光』
(抄出 岡本和子
御供 平佶
ラジオかかへ聞きたる落語少年のこころに何か自由を残す
通俗語生き生きひびく令和まへ世になき歌人残す言の葉
永井 正子
格調の文語急かな初心者の憧れとしてわれは導く
短歌とは文語旧仮名当然と教へ込まれし少女期の幸
青木 陽子
稲妻の二(ふた)たび三たび光る夜半紫陽花浮かぶ闇深き庭
いち人の心底ふとも吾が自負を保ちて仰ぐ深夜の星の座胸裡に
三浦 武
敗者復活許さぬ政治すべからくアベノミクスの負の遺産とす
財界の内部留保は五百兆よくぞ留めたり非正規にして
吉田直久
珈琲の褐色に消ゆる煩ひとつ在宅勤務に倦む昼下がり
梅雨晴れの正午の影の短躯踏み信号待つ身に夏至の近づく (抄出 吉田直久)