短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2024年7月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四二六)                              片山久子

 

袴田ひとみ歌集『青に呼応す』評                  佐伯雅司 松浦彩美

 

秀歌十五抄                 御供平佶・吉濱みち子・山本美里・鈴木喬子          

 

 

  

 歌壇管見                                  松浦彩美

 

短歌とデザイン思考㈠                            吉田直久

 

昭和覚え書き(31)                             御供平佶

 

歌の師・歌の友(58)                           中野たみ子

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その五十)                    川口城司

 

ことばにまつわるあれやこれや(Ⅶ)                     齋藤隆彦

 

作歌遊談(三)                               吉田三郎

 

本と私㉜                                  白田妙一

 

私の一首                                  永井正子

 

万葉歌人大伴旅人と西の都太宰府                       武田弓子

 

空穂会報告                        

  

卓上語                         大林美好・本田守・三澤千鶴子

 

作品批評                浅野真智子・磯貝久美子・鈴木みつゑ・志賀知恵

                    紺野愛子・小川和子・伊藤玲子・濱田静江

 

   転載歌

 

   空穂記念館の短歌講座

 

   第六十三回 国民文学全国大会神奈川大会案内

 

   哀悼

   

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

   編集室だより・後記

 

                             表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四二五)


身に堪へて寂しと言はじ庭のべの白つめ草は花咲きにけり中        『やますげ』

白々と秀立ちのあがる沖つ波のきらふ空は曇らむとすも

さえざえと春の夜更けてわが机照らす灯はものいふごとし          『雲の座』

樹の心くさの心もみな知りてあしたゆふべにわが向ひあふ 『落葉の中を行く』

死ぬ日まで安くあるべし風落ちてみづの若葉の音しづまりぬ        『樹氷と氷壁』

 

みづみづし羊歯の一むら立ちそろふかたへを見よや梨の木の花 『樹氷と氷壁以後』

いち早く落葉するらし富士ざくら連(つ)れて朴の葉重なりて見ゆ

 

                                  抄出 片山久子

 

今月の選者の二首 2024年7月号より

御供 平佶

昨日沈み今朝昇り来るあん暗澹の巨大フレアー抱く天体

鳥達に種を豊かに貯へて刈られてはまた野の草茂る

永井 正子

 

お久しと声の詰まりて寄り行けば濡れむとする眼にひとり慌つる

十年を会はざりしかば近々と互に老いし目見交はせり

吉田直久

客の間を行きつ戻りつカフェの猫人に癒やしを給仕するごと

夜桜の音なく流るる用水にほどろに散れるを飽かず見てゐき

 

佐伯雅司

退職の日も一日に変はらざる庭に落ちたる椿の赤し

県章のバッジを常に付けて来し届けとともに上司に渡す

                                                                          (抄 吉田直久)