短歌誌「国民文学」今月号(1310号)

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2025年7月号 ~遺稿集『奇跡の時』批評特集

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四三九)                                川口城司

 

 

遺稿集『奇跡の時』横山岩男歌集  書評              吉田直久・橋本千惠子

 

秀歌十五抄                     山岸金子・鯨井正義・原田緑•藤生徹

 

 

 

                  

 歌壇管見                                 佐伯雅司

 

出版その後                    大林美好歌集『農の刻印11』を語る会

 

 短歌とデザイン思考(14)                           吉田直久

 

昭和覚え書き(44)                              御供平佶

 

歌の師・歌の友 (71)                            中野たみ子

 

 ことばにまつわるあれやこれや(20)                    齋藤隆彦

 

本と私(45)                                 白田妙一

 

 私の一首                                金戸紀美子

                              

「沈思翰藻通信」  №10                           吉田三郎

 

作意に就いて                                松村英一

   

 卓上語                          岡本瑤子・藤生徹・北河知子

 

 

 

 

作品批評                  松浦彩美・金戸紀美子・斉藤恵子・岡由紀夫

                    堀家テル子・大塚きよ・今芽千陵・橋本外司雄

 

 

 

   転載歌

 

   西大久保便り 昭和四十五年二月号から                    松村英一

 

         第64回国民文学全国大会石川大会 案内

 

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

    

   編集室だより・後記

 

                       表紙画 池田信一  カット 斉藤恵子・樋森直子

 


松村英一の歌(四三九)


 

天つ日の光かくしてふりしづむ霧の底ひをわれは歩めり        『やますげ』

起き出での眼に鮮らしき青杉の秀つえにかかる一むらの霧

岩が根の熊笹の葉を吹き揺すり渦巻き通る霧の脚はやし

眼の前の岩山の秀に立ち迷ふさ霧うすれて日のあかりさす

岩のべの若菰(わかこも)の根をひたす水ひたひた音す船入り行けば

水清き國に来りて若葉さす椎森かげの風をよろこぶ

江の水つめたき色や遠方に梅雨雲うごき夕さらむとす

 

(抄出 川口城司)

今月の選者の二首 2025年8月号より

御供 平佶

土砂降りの雨をきたりて改札口入る数歩の濡れを忘れて

補聴器の拾得も無し身―つの無事の命に感謝なすべし

永井 正子

湿かき牡蠣雑炊に風邪を遣る夫なりしかど詮なし今は

高熱の対処はいかに付き添ひも介護も手出しのならぬ寂しさ

吉田 直久

亡き人の太陽電池の腕時計今なほ時を卓に刻めり

命日にコメントニつ書き込まる君の遺ししFacebookに

佐伯雅司

職を退きはや一年や年度末と年度初めの緊張なく過ぐ

波の音に似て見上ぐれば椋棚の葉のにはかの風に大きく撓ふ

                                (抄 吉田直久)